私は、鼻や唇が裂けた状態で生まれる先天性疾患の口唇口蓋裂という病気を持って生まれました。度重なる修正手術の傷痕が残ったことで、見た目で分かる口唇口蓋裂がコンプレックスとなってしまい、自分の顔に自信が持てず人の目を見れない日々を過ごしていました。
そんな私に希望をもたらしてくれたのが、メイクの存在です。
少しワンポイントを加えるだけでグッと雰囲気が変わるメイクに魅了され、高校時代は勉強よりも化粧研究に明け暮れる毎日(笑)。当時私がしていたメイクはいわゆるギャルメイクといわれるもので、その濃さはコンプレックスを隠す鎧のような役割を果たしてくれることに安心しつつも同時に息しさも感じていたことを今でも覚えています。
高校卒業後は美容系の道を希望していましたが、治療過程の都合上、美容専門学校への進学を断念。その代わりに何か美容の資格を取れるものを、と模索して出会ったのが、メイクセラピー検定でした。
そこで知ったのは、メイクセラピーとは、一般的な美しく魅せるだけのメイクではなく、なりたい自分をイメージし日常生活の中で小さな変化を喜びに感じ取れるツールとしてのメイクアップ療法であるということ。その点に魅力を感じ受験することにしました。その結果、豊富な知識 を得られたのはもちろんですが、私自身が、心までメイクされたような喜びを感じられるようになり、どんどん前向きな気持ちになっていきました。そして、人の目を見て交流することを楽しめるように気持ちも行動も変わっていきました。
自信が持てるようになった当時の私は、鎧のようなギャルメイクから顔のパーツを活かしたメイクスタイルへと変化。周囲からも「笑顔が増えたね」「今のあなた素敵」と、褒められることが増えてとても嬉しかったです。
現在は、口唇口蓋裂の啓発活動を目的としたNPO法人『笑みだち会』を立ち上げ、招待制オンライン会を開催しています。会では、手術痕をカバーしつつ自分らしさを表現できるメイクアップをアドバイスする等、メイクセラピー検定で学んだ知識が大変役立っています。今後も、自己肯定感を高めることが出来るメイクセラピーを活用し、顔の傷で心に傷が出来た人を笑顔にするサポートを続けていきたいと思っています。
2021.7.1